Realtime-JISNETの波形データを用いた2006年5月26日ジャワ島中部で発生した地震の震源メカニズム解析
防災科学技術研究所 国際地震観測管理室 2006/05/31(水)
- ■ 概要
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インドネシア気象地球物理庁(BMG)と共同で実施しているインドネシア広帯域地震観測網(Realtime-JISNET)の波形データを用いて、2006年5月26日にジャワ島中部で発生した地震の震源メカニズム解析を行いました。その結果、震源はジョグジャカルタの南南東約10km(7.89°S、110.41°E)の深さ約10kmに、マグニチュード(Mw)は6.3と推定されました。震源位置はこれまでの遠地の波形を使った結果に比べ、内陸側に推定されました。
- ■ データ
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解析に用いたのは、Realtime-JISNETのBJIとLEM観測点(図1)の広帯域地震計(CMG-3T EBB:0.02〜360秒)の3成分波形(図2)です。なおBJIのEW成分は地震計の不具合により取得できておりません。
 図1 : 解析に使用したRealtime-JISNET観測点
 図2 : BJIとLEM観測点における観測波形
- ■ 手法
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ここでは、少ない観測点でも安定して解を求めるために、震源メカニズムとして点震源の断層すべり(ダブルカップル)を仮定します。更に走向・傾斜・すべり角を固定し、モーメント時間関数を周波数領域での波形インバージョンによって求めます。このインバージョンについて、走向・傾斜・すべり角および震源座標のグリッドサーチを行い、最小残差を見つけることにより震源とメカニズムを決定します。今回の解析では、モーメント時間関数の複雑性の影響を受けにくい長周期帯(50-100s)を使用してインバージョンを行いました。近地の波形を用いているので、震源の決定精度を上げる事が期待できます。
- ■ 結果
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図3に示すとおり、グリッドサーチによる残差は、ジョグジャカルタの南南東約10km、深さ約10kmにおいて最小となりました。そこでのメカニズムを図3に、波形フィットを図4に示しました。得られたメカニズムは横ずれ成分が卓越し、マグニチュード(Mw)は6.3と推定されました。
 図3 : 残差分布とメカニズム解
 図4 : 観測波形(黒)と合成波形(赤)の比較
防災科学技術研究所 国際地震観測管理室
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