データ:解析に用いたのは、Realtime-JISNETのBJI、LEM、KSI、PTK観測点(図1)の三成分波形です。ただし、BJIのEW成分は取得できておらず、またPTK観測点は上下動のみを使用しました。
手法:ここでは、少ない観測点でも安定して解を求めるために、震源メカニズムとして点震源の断層すべり(ダブルカップル)を仮定します。更に走向・傾斜・すべり角を固定し、モーメント時間関数を周波数領域での波形インバージョンによって求めます。このインバージョンについて、走向・傾斜・すべり角および震源座標のグリッドサーチを行い、最小残差を見つけることにより震源とメカニズムを決定します。今回の解析では、モーメント時間関数の複雑性の影響を受けにくい長周期帯(50-100s)を使用してインバージョンを行いました。
結果:解析の結果、震源は米国地質調査所による震源より約50km南(9.78°S、107.26°E)の深さ約10kmに推定されました。そこでのメカニズムを図1に示しました。また、図2に震源のグリッドサーチにおける残差の分布を示しました。
図3には震源メカニズムの詳細なパラメータ、モーメント時間関数、そして波形のフィットを示しました。どの観測点においても、観測波形の初動部分にみられる主要な相を良く説明出来ていることが分かります。マグニチュードは他の研究者らによる結果よりも小さく6.9となりました。この理由については今後検討が必要です。

図2 :震源のグリッドサーチにおける残差のコンター。+印は想定した震源位置(東西および南北に50km間隔)。

図3 : 震源メカニズム(左上)、モーメント時間関数(右上)、観測波形(黒)と合成波形(赤)の比較(下)