2007年9月にインドネシア・スマトラ島南部で発生した3つの地震の比較とその意義


防災科学技術研究所・国際地震観測管理室

2007年9月12日午前11時10分頃(世界標準時)、インドネシア・スマトラ島ブン クル沖でマグニチュード(M)8.4の地震が発生しました。さらにその12時間39分 後の同日午後23時49分頃、M8.0の地震が先の地震の北西領域で起こりました。 また、その3時間46分後の13日午前3時35分に、M8.0の地震のさらに北西の パダン沖でM6.8の地震が発生しました。

防災科学技術研究所がインドネシア地球物理気象庁と共同で運用しているインド ネシア広帯域地震観測網(JISNET)のデータを用いてこれらの地震の詳細なメカ ニズムを解析した結果を下図に示しました。

3つの地震はいずれも低角逆断層型のメカニズムであり、インド・オーストラリア プレートの沈み込みに伴う地震と考えられます。

これらの地震により、ブンクル市およびパダン市で建物被害およびそれによる 死者が出ています。パダンでは約1mの津波が観測されましたが被害は 報告されていません。

ブンクル沖では過去に1381年, 1608年、1833年と約230年おきにM8を超える 巨大地震が発生しており、今回のM8.1地震は1833年から174年経過して発生 したものです。またその北側のパダン沖は2005年3月のニアス島地震(M8.7)の 南隣のセグメントにあたり、1797年以降210年間M8級の地震が発生していません。 今回このもっとも注意すべき領域の南部にあたるブンクル沖でM8.4が発生し、 その北西でM8.0、さらにその北西でM6.8が立て続けに発生しました。 このことはパダン沖のM8級地震の発生がますます切迫していることを示唆します。 引き続きこの地域の地震活動を注意深く監視するとともに、パダン市を中心 とする西スマトラ州全域では地震動と津波に対する備えが急務と思われます。





防災科学技術研究所 国際地震観測管理室