1. 概要 2012年2月6日現地時間午前11時49分頃(日本時間午後12時49分頃)、フィリピン中部のネグロス島付近でマグニチュード(Mw)6.7の地震が発生しました。この地震は逆断層型のメカニズムであり、深さは約 5 km に決まりました。現地ではこの地震による被害が発生しており、多数の死傷者がでている模様です。 2. 地震の特徴 フィリピンとインドネシアの広帯域地震観測網のデータ用いて、SWIFT(Nakano et al., 2008)を用いた震源の波形インバージョン解析を行いました。その結果、ネグロス島とセブ島の間のタニョン海峡の深さ5kmに、逆断層のメカニズムが推定されました(図1)。 図1. 推定されたメカニズムと震央位置(赤星)。 フィリピンでは東からフィリピン海プレートが、西からはスンダプレートが沈み込んでいます。今回の地震は、フィリピン海溝とネグロス海溝に挟まれた領域で、フィリピンを南北に走るフィリピン断層とは異なる断層で発生しました(図2)。 図2.フィリピン周辺のプレートの分布(Bird, 2003を改変)。赤色のメカニズムは今回の地震。 Global
CMTプロジェクト(http://www.globalcmt.org)による1976年からの地震カタログによると、今回地震は、フィリピンのなかでも比較的地震活動の低い領域で発生したことがわかります。 図3.Global CMT プロジェクトによる1976年1月1日〜2012年2月5日までのMw が 5 以上で、震源の深さが
50 km より浅い地震のメカニズム分布(黒)。赤色のメカニズムは今回の地震。 引用文献 Bird, P., An updated digital model of plate boundaries, Geochem. Geophys. Geosyst., 4(3), 1027, doi:10.1029/2001GC000252, 2003. Nakano, M., H. Kumagai, and H. Inoue, Waveform inversion in the frequency domain for the simultaneous determination of earthquake source mechanism and moment function, Geophys. J. Int., 173, 1000-1011, 2008. 最終更新日:2012年2月7日 |